但馬で働く人たちWORKER

宿泊業

株式会社朝野家かぶしきがいしゃあさのや


先輩社員に聞いてみた

客室係
仲村心
(2022年入社=神戸・村野工高卒)

仲村さんは神戸出身ですよね?

(仲村)高校時代は情報技術科で、パソコンの使い方なども勉強しました。コンビニでアルバイトをしていて、そこで接客の仕事の楽しさを学んだように思います。
高校卒業後に食品関係の工場で1年間働いたんですが、自分には向いていないと感じました。やはり自分は人と接する仕事の方が向いているんじゃないかと…それで退職して、次の道を探すことにしました。

そして、なぜ湯村に?

(仲村)実は母が浜坂の出身なので、子どもの頃から新温泉町にはよく来ていたんですよ。朝野家にも何度か泊まったことがありました。接客の仕事がしたかったことに加え、昔から「観光地に住んでみたい」「広い家に一人で住んでみたい」という夢があったので、湯村に住めばすべて願いが叶うなと(笑)。神戸の工場勤務の時にも一人暮らしをしていたので、全く不安はありませんでした。母はちょっと心配していましたが…

そしてそのまま朝野家に就職?

(仲村)そうできればよかったんですけど…湯村に来たのが2020年の5月だったんです。ちょうどコロナの最初の緊急事態宣言の真っ最中で、旅館はどこも休館中。新しく人を採用するような状況ではなかったので、しばらくは水産関係の仕事をしている祖父の手伝いをしていました。2022年に入ったころ、朝野家の方を紹介してもらい、2月からアルバイトで入って4月に正式に入社しました。
最初の数か月は売店やラウンジで接客をしていたんですが、女将さんから「客室係をやってみないか」と声をかけていただき、本格的な「おもてなし」の仕事にも興味があったので、夏から客室係になりました。

客室係のお仕事の、一日の流れを教えてください

(仲村)仕事は15時ごろから始まって、まずはお客様が使われるお部屋の掃除の状態などを確認します。その後は夕食の配膳の準備などをしながらお客様の到着を待ちます。お客様をお出迎えしてお部屋にご案内したら、次は夕食の配膳です。食事が終わられたら片づけをして、夜の仕事は終わりです。翌朝は7時ごろに出勤して朝食の準備と片付け、そしてお客様をお見送りして、最後に部屋の掃除をして終了です。

朝が早いのがちょっとだけ辛いですが、逆に言えば、しんどいことはそれしかないです。仕事の中身については、全く辛いとかきついとか思ったことがありません。「天職」だと思ってるくらい、仕事が楽しくて仕方ないです。

このお仕事の楽しいところは?

(仲村)お客様といろいろなお話ができるところです。同じ接客業でも、例えばショップ店員だったら、それほど深い話をお客様とすることなんてないですよね。でも、この仕事はお客様によってはけっこういろいろな話をすることがあります。それが魅力ですね。
ちょうどきのうのことですが、お客様のお見送りをしていたら、別のお客様から声をかけられました。2か月ほど前に来られた時に私が担当したお客様で、「あの時の接客がとてもよかったから、またやってきた」と言って下さいました。ホントに嬉しくて、この仕事をしていてよかったと思いました。
自分にとっては毎日何組か担当するお客様のお一人であっても、お客様にとっては私が「湯村温泉の思い出」や「朝野家の思い出」になるんだということをあらためて感じ、さらに気を引き締めて精進しようと思った出来事でした。

上司から一言

旅館の接客係は、お客様と接する時間の長いお仕事なので、サービス精神が旺盛な方に向くお仕事です。初めて仲村さんにお会いした時から、非常に礼儀正しく明るい印象を受けました。茶道、華道にも興味をもち接客係に向いている青年だと一番に感じたのを良く覚えております。男性の接客係として、思った通りどんどん成長して、お客様から「心くん!心くん!」と声掛けいただける人気者になっております。この調子で、焦らず彼の成長を見守りながらアドバイスをしていけば、立派な客室係に成長する事でしょう。

後輩たちへのメッセージ

私は高校を卒業してから今で3つ目の仕事になります。正直、自分に合う仕事があるんだろうかと不安になった時期もありましたが、今は「天職」に巡り合って充実した日々を送っています。皆さんも、時間をかけてでも自分に合った仕事を見つけてほしいと思います。

取材を終えて

日本旅館で男性の客室係は非常に珍しく、朝野家でも他の客室係の方はみんな女性なんだそうです。湯村温泉は他の温泉地と比べても「宿を目当て」で訪れるお客さんが多いそうで、もしかしたら「仲村さん目当てで朝野家に泊まる」というお客さんがこれから増えるかもしれません…


株式会社朝野家

「感動、感激を越えた“感涙経営”をめざします」

創業1967年の湯村温泉・朝野家は、お城づくりの旅館です。
5つ保有している大型泉源から湧き出る豊富な温泉を、館内に循環させて温度を下げることでほとんど加水しない純度の高い状態で提供しています。一方、館内に循環させているお湯は冷暖房にも利用されています。朝野家では昔からSDGsを実践していたのです。
私たち朝野家では、理想のサービスの形はどうあるべきか常に考え続けます。それぞれのお客様が求めるものは一つではありません。100人のお客様がいれば100人それぞれの考え方があり、求められるものは違ってきます。
お客様がご宿泊される貴重な休息のお時間の短いコミュニケーションの中で、「その人の求められるもの」「その人にあったおもてなし」を探し続け、『三道』(香道・茶道・華道)の心を柱に、それぞれのお客様へそれぞれのおもてなしができ、有意義で貴いお時間をおくっていただけるよう、日々邁進してまいります。