但馬で働く人たちWORKER

宿泊業

株式会社井筒屋(佳泉郷 井づつや)かぶしきがいしゃいづつや(かせんきょう いづつや)


先輩社員に聞いてみた

営業部 売店係
阪本美裕 (左)
(2021年入社=浜坂高校卒)
営業部 フロントサービス係
グルン・カラ (中)
(2022年入社=ネパール・カトマンズ出身 ~仙台YMCA国際ホテル専門学校卒)
調理部 調理係
藤田剛斗 (右)
(2020年入社=西宮市出身 ~兵庫栄養調理製菓専門学校卒)

藤田さんは、なぜ料理の道に?

(藤田)中学の卒業文集で「将来の夢」を書くときに、なんとなく「料理人」と書いてから自分で意識するようになりました。もともと料理は好きで、子どもの頃から料理を作って母に褒めてもらったりしていたんです。高校時代に居酒屋でアルバイトしていたのも、ちょっとでも勉強になるかなという思いがあったからでした。
調理の専門学校に進んで「自分の店を出す」という夢に向かって勉強していた時に、専門学校の先生から井づつやの料理長を紹介してもらいました。「ここで勉強して自分の店を出した人もたくさんいる」と聞いて、湯村温泉に来ることを決めました。来るまで但馬のことはよく知りませんでしたが、特に不安はなかったです。

カラさんは、なぜ日本へ?

(カラ)20歳までネパールの学校に行っていました。この学校が日本からの短期留学生を受け入れていたので、日本の話を聞く機会が多く「行ってみたい」と思うようになりました。ネパールで3か月日本語を特訓して来日し、仙台の日本語学校で1年勉強した後、同じ仙台でホテルの専門学校に進みました。もともと接客が好きということもありましたし、日本語とともに日本文化についても勉強する中でもっと日本のおもてなし文化を学んでみたいと思って日本旅館で働いてみたいと思うようになりました。たまたま専門学校の先生が井づつやの料理長とお友達だったという縁もあって、こちらに入社しました。

阪本さんはどんな経緯で井づつやに?

(阪本)生まれは新温泉町の浜坂で、小学校から高校までずっとブラスバンドでサックスを吹いていました。高校時代は部活一筋でしたね。高校を卒業するときに、専門学校への進学も考えたのですが、地元を離れる不安もあってこちらで就職することにしました。井づつやのことは、高校で開かれた企業説明会で料理長のお話を聞いて伝統の重みを感じましたし、実際に職場見学に来て従業員の方の対応が「おもてなしのプロ」だなと強く感じました。また、もともとウェディングプランナーにも少し興味があったのですが、こちらではブライダルも扱っているので、将来はそんな仕事もしてみたいという思いもありました。

藤田さんの今のお仕事は?

(藤田)今は調理場の中で「板場」という、魚などを扱う仕事の補助として働いています。カニの季節は、ひたすらカニをさばく日々です(笑)
入ってみて、入社前に抱いていたイメージとは違うところもいろいろありました。もっと厳しい職人の世界みたいなイメージがありましたけど、みんな優しいです。もっとも、昔の話を聞くとそういう時代もあったみたいですけど…あと、大きな旅館なので、大量の料理を短時間で作るためにはいろいろな工夫があることも分かりました。

カラさんのお仕事とは?

(カラ)お客様を部屋にご案内して、夕食と朝食を説明しながらお出しするのが仕事です。仕事はとても楽しいですが、やはり難しいのは日本語ですね。料理の説明もしないといけませんし、お客様から湯村温泉のことや観光情報などを聞かれることも多いので、それにも答えないといけません。こちらから説明することは勉強したのですが、お客様のおっしゃっていることが分からないことがよくあります。私が勉強した日本語は標準語なので、関西弁がよく分からないんです。そういう時は他の人に聞いてもらっています。
入社してしばらくはお客様もそれほど多くなかったのですが、全国旅行支援が始まった秋ごろから急に忙しくなりました。最初は戸惑いましたが、ようやく少し慣れてきました。

阪本さんのお仕事は?

(阪本)売店係として、主にお土産物の販売をしています。また、昼間は到着されたお客様にウェルカムドリンクとしてお茶をお出ししたりもしていますし、閉店後は在庫の確認もしています。お客様とお話していて、お礼の言葉を言われると嬉しいですね。
お金を扱う仕事なので、そこはやはり気を遣います。まだ分からないことも多いので、必ず上司に聞くように心がけています。

藤田さんは但馬に来て2年半、仕事にも慣れました?

(藤田)やはり驚いたのは雪の量ですね。西宮だと積もることはほとんどないですが、こっちはものすごいので。あと、湯村温泉は駅から遠いし列車やバスの本数もそれほど多くないので、クルマを持っていないとどこにも行けないなとは感じました。私はもともとクルマを持っていたので大丈夫でしたが。
今は料理の技能を競う大会にも出させていただいています。仕事が終わった後の時間や休みの日もその練習にあてているので、正直体力的にはしんどいですが、確実に自分が成長できているとは感じます。

カラさん、湯村での生活はどうですか?

(カラ)休みの日には鳥取に買い物に行ったりしています。私は免許を持っていないので、クルマを持っている同僚に乗せてもらって一緒に行っています。雪はちょっと不安ですね…ネパールは山国なので雪が降ると思われがちですが、私の育ったカトマンズは雪が降らないんですよ。以前住んでいた仙台も雪はそれほど降らなかったので、雪には全く慣れていないんです。
今の生活は楽しいですし、これからもここでいろんな経験を積んでいきたいです。そしていつかはネパールに帰って、日本で学んだ「おもてなしの心」を生かせる仕事をしたいと思っています。

阪本さんは普段はどんな生活を?

(阪本)休みの日は、あまり家にいないですね。いろんなところに遊びに行っています。鳥取とか京都とか…長期の休暇がとれたら、もっと遠くに旅行に出かけます。
旅行に行って旅館に泊まると、どうしても売店には目が行きますね。並んでる商品の種類とか、気になっちゃいます(笑)

上司から一言

藤田さんは今年の技能五輪で敢闘賞を受賞。それを励みに、さらなる技術の向上に取り組むことと、後輩の育成ならびにその手本となるような活躍に期待しています。
カラさんは日本語も上手で、仕事の覚えもよく助かっています。係の一員として、皆のように早く制服である着物を着たいと言ってくれたことに、とても前向きな気持ちを感じて嬉しくなりました。今後もその時の気持ちを忘れないように日々努力に励んでもらいたいです。
阪本さんは明るくて笑顔が素晴らしいです。仕事への積極性も出てきているので、これからも色々なことにチャレンジして、成長して欲しいと思います。

後輩たちへのメッセージ

(藤田)学生のうちに、いっぱい友達と遊んでおいてほしいですね。仕事をするようになると時間が合わなくてなかなか会えなくなるし、地元を出たらなおさらです。今しか持てない友達との時間を大切にしてほしいと思います。
(カラ)私が日本に来て一番苦労したのは、やはり言葉でした。将来海外に出て行ってみようと思っている人は、ぜひ言葉の勉強は早くからしておいた方がいいと思います。
(阪本)目の前にある課題を、ただ何となくこなすのではなく、正面から向き合っていろいろな面から疑問を持ったりしながら解決していくと、きっとその経験が将来役立つと思います。

取材を終えて

三人の入社のエピソードにはすべて井づつやの井上明彦料理長が登場しました。「現代の名工」として表彰され、人気テレビ番組「料理の鉄人」にも出演された有名な方ですが、その顔の広さにも驚かされました。


株式会社井筒屋(佳泉郷 井づつや)

「心地よき湯、心地よき味、心地よきおもてなし。」

当社は、鳥取県との県境にある山陰湯村温泉で旅館「佳泉郷 井づつや」を経営しています。 湯村温泉は、豊富な湯量と日本屈指の高温泉が魅力な、山間の閑静な温泉地です。その中でも、当館の創業は江戸時代初期と伝えられ、豊富な自家源泉による“かけ流し”温泉と旬を活かした料理、心温まるおもてなしが自慢の宿です。2022年”日本の旅館100選”では、全国総合20位に選出され、全国的にも高い評価をいただいています。
「施設・料理・おもてなし」を高水準で学びたい方、豊かな自然環境で働きたい方、私たちと一緒にチャレンジしてみませんか。
温泉・Wi-Fi付社宅に昼夜の食事支給もありますので、一人暮らしでも安心ですよ。